2004/08/04 水
記憶を数十分しか保てない世界
年をとるとちょっと前にやったことを忘れることがよくありますが(^^;)、常に数十分前までの記憶しか覚えてられないとしたら、あなたはどう生きますか?
先日読んだ「博士の愛した数式」と昔観た「メメント」は、そのような記憶障害になってしまった人の物語です。
このようにある時点からの記憶が不可能になる障害を「前向性健忘」といいます。逆に、ある時点より前の記憶がなくなる障害(いわゆる記憶喪失)を「逆向性健忘」といいます。この2つの物語に出てくる人は、「博士〜」が80分前まで、「メメント」が10分前までの記憶しか保てない前向性健忘になってしまった、という設定になっています。
2つとも同じ前向性健忘を題材とした物語ですが、その人の生き方も、物語の見せ方も、終わった後の気分もまったく違う作品でした。どちらもかなりの良作なので、まだ未体験の方はこの機会にどうぞ。
すでに各所でレビューされていると思うので、ここではポイントを簡単にまとめるだけにしておきます。
「博士の愛した数式」
- 障害になる前に「数学の女王と呼ばれる分野:数論」を教えていた「博士」と呼ばれる老人が、おだやかに生きていく物語。
- 大事な記憶はいつも着ているスーツの至る所にメモとして貼付けている。
- 素数や友愛数、完全数、三角数からオイラーの公式やアルティン予想まで、数学ネタが満載。
- 数字の世界が美しく優しい言葉で説明され、興味をそそられる文章。
- 「どんな数字でも嫌がらず自分の中にかくまってやる、実に寛大な記号、ルートだ」「1-1=0 美しいと思わないかい?」とかそういう世界。
- だが雑学レベルで勉強になるほどではない。ちゃんと勉強したい方には「オイラーの贈物?人類の至宝eiπ=-1を学ぶ」をオススメします。
- ボケを自覚しているボケ老人の人生を見ているようで、読後は悲しくも優しい気分につつまれる。
「メメント」
- 主人公は大事な記憶を自らの体に刻み込んでいき、そのメモをたよりに妻の仇を討つが・・・。
- 終末を先に見せ、終末から過去に向かって10分づつ巻き戻っていく構成で、見る側にも前向性健忘を疑似体験させる作り。
- と同時に、過去から現在に向かう話も挟み込まれ、最後につながる構成で、最初の数十分は意味がわからない(^^
- 最初に物語の終わり(終わってないっぽいが)が出てくるくせに、最後まで真相がわからない絶妙な構成。
- 集中して観れる環境と、結構な記憶力を必要とする、絶対に繰り返しみたくなる映画。そういう意味で DVD 向け。
- DVD には正しくつなげたバージョンも収録されていて、物語の理解には役に立つが、こうしてみると普通の物語だったりする(^^
- 観賞後は構成に感動する共に、主人公への哀れみでややダークな気分になる。でも前述のようにもう一回観たくなる。
- 受賞:ドーヴィル映画祭 批評家賞・審査員特別賞、サンダンス映画祭 最優秀脚本賞、カタロニア国際映画祭 批評家賞、ロンドン批評家賞 ALFS最優秀脚本賞
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映画『メメント』
Excerpt: どうやら最近は記憶喪失がブームになりつつあるらしい。 昨日レビューした 『ボーン・スプレマシー』も記憶をなくした暗殺者の話だし、 読売文学賞を受賞した 『博士の愛した数式』小川洋子ダヴィンチ最新号でプラチナ本として紹介されている 『明日の記憶』萩原浩 この...
Weblog: 思ひ草紙
Tracked: 2005年2月18日 07:59
Excerpt: どうやら最近は記憶喪失がブームになりつつあるらしい。 昨日レビューした 『ボーン・スプレマシー』も記憶をなくした暗殺者の話だし、 読売文学賞を受賞した 『博士の愛した数式』小川洋子ダヴィンチ最新号でプラチナ本として紹介されている 『明日の記憶』萩原浩 この...
Weblog: 思ひ草紙
Tracked: 2005年2月18日 07:59
2 :
name: ooba
date: 2004/08/10 01:16
[RES]
>>1 クマ さん
「博士〜」はたまたま本屋で見つけて買いました。
最近技術書やノウハウ本ばかり買っていたため、
ひさしぶりに心温まる本を手に入れることができました。
もしよかったら読後の感想も教えてください。
3 :
name: クマ
date: 2004/08/13 21:38
[RES]
およ!
遅読なので忘れた頃にお伝えする結果となりそうでする〜>感想
にしても面白いです。今第2章ですが微妙に生々しい(リアル)ですし。グッサリ来てます。










